<マチネの終わりに>の映画化
2018.09.16
平野啓一郎さんの<マチネの終わりに>が映画化されることが話題になったのをきっかけに、
買ってあった<マチネの終わりに>のCDを久しぶりに聴きました。このCDは2016年の10月19日発売。私は発売前に予約しておりました。というのも、小説ではギターの名曲が演奏される場面が多い中で、ただ一曲だけ架空の曲<幸福の硬貨>というのがあって、当然のことながら聴いたことがないわけで、小説読みながら「どんな曲かしら?」と思っていたのでした。それが新たに作曲されて収録されているとのこと。「どんな曲になったのだろう? 聴いてみたい!」という思いからでした。

この<幸福の硬貨>はボーナストラックとしてCDの最後にもはいっていて、CDの解説によれば最初の演奏(2分30秒)よりやや長い(2分52秒)ゆったりした演奏になっているのは、小説の中で二回演奏される状況が違うので、それぞれ弾き分けているのだそうです。他の曲についてはこのCDのために新たに演奏したわけではないので演奏した年齢に25年の幅があるそうです。そういう観点からもちょっと面白いCDなのかもしれません。

このCDが発売された後に、作品のモデルと(読者の皆が思っているであろう)ギタリスト福田進一氏、作家の平野啓一郎氏、それに<幸福の硬貨>を作曲した林そよか氏の三人のトークもある白寿ホールの演奏会も聴きに行きました。いつだったろうか?と思ったら2017年の1月7日のこと、私の記憶が間違っていなければ、新聞に連載している頃から「映画化はしないでほしい。」という声が上がっていたようでした。主人公たちのイメージが演じる役者さんのそれになってしまうからというようなことで。今回の映画化では福山雅治さんと石田ゆり子さんが演じるということで、映画化しないでほしかった人たちにとってはどうなのだろうか?イメージに近いのかしら? と思います。

「映画化されることで、クラシックギターの魅力に多くの人が関心を持ってくれると良いのだけれど。」と私のギターの先生が言っていました。ヴィラロボスのガボットショーロとかピアソラのタンゴ組曲とか私は大好きなのですが、巷ではあまりポピュラーではなさそうですものね。ギター曲というと「禁じられた遊び」「アランフェス」「カヴァテイナ」といったところどまり。私は最初に(フルートとの二重奏の)ギターのパートナーがスタジオに持ってきてくれた(その人がスペインで師事していた)ホセルイスゴンザレスのCDのスペイン舞曲 アンダルーサを聴いた時の衝撃が忘れられません。「ギターってこんなに表現豊かな楽器だった?!」 本来ピアノ曲なわけですが、まるでギターのために作られたように思われるほど素敵な演奏です。

「ギターはその音色を聴くのが好きなのであって、習い始めちゃったのは誤りだったのではなかっただろうか?」と思うこの頃です。でもたとえば老後、どこかの施設に入らなくちゃならないようなことがあったとしてフルートだと響きすぎて部屋で吹けないけれど、ギターなら迷惑にならずに部屋で一人で弾いて楽しめそうだし、フルートでは演奏を聴いてもらうことしかできないけれどギターなら歌の伴奏できたりもしそうだしと思ってみたりしております。

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